
公開日:2025.07.02

最終更新日:2025.07.10
「広告運用のインハウス化」ってどうなの?自社でやるメリット・注意点・始め方をわかりやすく解説!
「広告運用って、本当に外注し続けるべきなんだろうか?」 そんな疑問を持ったことはありませんか?
最近では、広告代理店に任せきりにせず、広告の配信・分析・改善などを自社で行う“インハウス運用”を検討する企業が増えています。
たとえば、Google広告のキーワード設定や入札の調整、Instagram広告の画像や文章を見直してより成果の出る表現に変えていくクリエイティブの見直し業務を、マーケティング担当者が自ら行い、データを見ながら効果を改善していく。 そんな「自社で広告を運用する力」を持つ企業が、成果を上げつつあります。
とはいえ、「人手が足りる?」「知識がなくて失敗しそう…」という不安もつきもの。 この記事では、インハウス化の良いところや気をつけたいポイント、どうやって始めるかなど、初めての方にもわかりやすく解説していきます。

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広告運用インハウス化とは?
「インハウス化」とは、Google広告やInstagram広告、Facebook広告、YouTube広告などのネット広告を、広告代理店などの外部パートナーに任せずに、自社のマーケティングチームなどで運用することを意味します。 たとえば、広告文を考えて配信し、クリックや購入などの効果を分析しながら、バナーや動画広告を改善していくような一連の業務を、すべて社内で完結させるイメージです。 こうしたインハウス化を進めると、素早く施策を試せたり、広告運用に関する知識やノウハウが会社の中に蓄積されやすくなったりするメリットがあります。 一方で、広告媒体の仕組みを理解したり、データを分析したり、クリエイティブを作ったりするための知識やスキルを持った人材が必要になるため、準備や体制づくりも欠かせません。
広告運用のインハウス化のメリット
ここでは、広告運用をインハウス化することで得られる具体的なメリットをご紹介します。代理店任せでは得られない柔軟性やスピード、そして長期的な自社の力となるノウハウの蓄積など、さまざまな面での利点があります。実際にインハウス化を検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
コストが抑えられる
広告代理店に支払う手数料(広告費の約10〜20%)が発生しなくなるため、その分の予算を別の用途に回すことができます。たとえば、広告出稿量を増やしてリーチを広げたり、自社商品の魅力をより伝える高品質なバナーや動画の制作に投資したりすることが可能になります。 さらに、広告運用の結果を社内で直接確認できるようになることで、どの施策にどれくらいのコストをかけるべきかといった意思決定も迅速かつ柔軟に行えるようになります。中長期的に見ても、外注コストを抑えた分の予算を戦略的に活用できるのは、インハウス運用の大きな魅力です。
素早く動ける
社内だけで広告運用を行えるようになると、「このバナーを変えてみたい」「このキーワードを追加したらどうなるだろう?」といったアイデアを、その場で試すことができます。外部の代理店に依頼してから調整・確認・実装というステップを踏む必要がないため、施策のスピード感が格段に上がります。 特に、期間限定のキャンペーンや、トレンドに乗ったタイムリーな施策が求められる場合には、社内で即座に動ける体制が大きな強みになります。思いついた施策をすぐに実行し、効果を見ながらその場で微調整していけるという点は、競合との差別化にもつながります。
自分たちの経験値が増える
広告の運用経験を社内で積み重ねることで、ノウハウや知見がどんどん蓄積されていきます。たとえば、どんなクリエイティブが反応がよかったか、どのターゲティングが効果的だったかといった実践的なデータが社内に残り、次の施策に活かせるようになります。 こうしたノウハウは、広告運用にとどまらず、LPの改善やコンテンツマーケティング、CRM施策など他のマーケティング活動にも応用できます。また、新しいメンバーが加わった際にも、社内に蓄積された情報をもとにした教育がしやすくなり、チーム全体のスキルアップにもつながります。
商品のことをよくわかっている人が運用できる
自社の商品やお客様を一番よく理解している社内のメンバーが広告運用を担うことで、より“伝わる”広告づくりが可能になります。たとえば、どんな悩みを持った人が商品を手に取るのか、競合と比べてどんな点が魅力なのかといった情報を、現場の担当者は日々のやりとりや問い合わせ対応を通じて把握しています。 そうした知見をもとに広告文を作成したり、ターゲット設定をしたりすることで、実際の顧客像にぴったり合った訴求ができるようになります。また、社内の他部署とも連携しやすくなるため、新商品の訴求ポイントや在庫状況に応じた柔軟な運用がしやすいという点でも、社内運用には大きな強みがあります。
広告運用のインハウス化でよくある悩みと対策
人手や知識面に不安がある
広告運用をインハウス化する際に多くの企業が感じるのが、「人が足りない」「知識がない」という不安です。たしかに、広告の出稿設定、キーワードの選定、入札戦略、バナーや動画の制作、数値分析など、求められるスキルは多岐にわたります。特にGoogle広告のような媒体では、品質スコアや広告表示オプション、コンバージョントラッキングなどの専門的な知識も必要です。ただし、最初からすべてを完璧にこなせる人材が社内に揃っている必要はありません。まずは必要な業務やスキルを洗い出し、どの部分を社内で担い、どこを外部に頼るかを決めましょう。 たとえば、運用設定や分析は社内で行い、クリエイティブ制作は外部に依頼するといった分担も有効です。また、基礎から学べる研修や初心者向けの広告ツール、媒体主催のセミナーなどを活用して、社内で徐々にノウハウを蓄積していく方法もあります。大切なのは、今のリソースに応じた無理のないスタートを切ること。そして、育てながら・学びながら体制を整えていくという視点を持つことです。
情報が入ってきづらい
広告の世界は変化が非常に激しく、広告媒体(GoogleやInstagramなど)が定期的に行う表示ルールや配信ロジックの変更(=アルゴリズムの変更)、新しい広告フォーマットの登場、法規制の改定など、常に最新の情報を追い続ける必要があります。たとえば、同じキーワードでも掲載順位の決まり方や表示される文言の条件が、数か月単位で変わることも珍しくありません。 しかし、インハウスで運用していると、こうした変化に気づくのが遅れがちになったり、代理店からの情報提供が受けられなかったりするため、アップデートが後手に回るリスクがあります。 そのため、媒体が主催する公式のウェビナーやセミナー、業界イベント、広告関連のニュースレターや専門メディアを定期的にチェックすることが重要です。また、他社の成功事例を知ることで、自社の運用に活かせるヒントが得られる場合もあります。外の情報を積極的に取り入れる姿勢を持ち続けることが、インハウス運用の成果を安定して出し続けるための鍵になります。
一部の人にしかわからない状態になる
知識やノウハウが一部の担当者に集中してしまうと、その人が異動や退職をした際に運用が回らなくなるリスクが高くなります。たとえば、「この媒体ではどんな設定をしているか」や「過去の失敗パターン」など、実践的な運用の勘所が属人化すると、チームとしての継続的な改善が難しくなってしまいます。 そのため、日頃からドキュメントや運用マニュアルをしっかりと整備しておくことが重要です。さらに、週次の定例ミーティングやチャットツールでのナレッジ共有、KPIの進捗報告などを習慣化することで、チーム全体で同じ知識レベルを保つことができます。インハウス運用を安定して継続するには、「誰でも引き継げる仕組みづくり」が鍵になります。
広告運用のインハウス化を始めるための6つのポイント
広告運用のインハウス化を始めるとき、最初に立ちはだかるのが「どこから手をつければいいかわからない」という壁です。すべてを自社で担うのは難しそう、何から始めるべきか不安——そんな声は少なくありません。 このパートでは、インハウス化に初めて取り組む企業に向けて、始めるための具体的な進め方をご紹介します。目的を明確にするところから始まり、体制づくり、小さな成功体験の積み重ね、そして改善サイクルの仕組み化まで。はじめの一歩を迷わず踏み出せるよう、無理なく進められる方法を解説していきます。
まずはインハウス化の目的をはっきりさせる
「費用を減らしたいのか」「スピードを重視したいのか」「自社内にノウハウを蓄積したいのか」など、まずは“なぜ自社で広告を運用したいのか”という目的を明確にすることが大切です。 インハウス化の目的がはっきりしていないと、運用を始めたあとに「結局代理店の方がよかったかも」と感じたり、期待した効果が得られずに途中でやめてしまうケースもあります。 たとえば、コスト削減が最優先であれば、運用手数料をどこまで抑えられるかを策定すべきですし、スピード感が重要であれば、社内で即判断・実行できる体制が必要です。また、社内にノウハウを残すことが目的であれば、記録や共有の仕組みをきちんと整備しておく必要があります。 こうした“インハウス化のゴール”を最初に言語化しておくことで、以降の方針や体制づくりもブレずに進めやすくなります。
チームや役割を決める
広告運用をインハウスで行うには、社内で誰が何を担当するのかを明確に決めることがとても重要です。たとえば、広告の出稿設定や媒体管理を行う運用担当、効果測定やレポートを作成する分析担当、バナーや動画などの制作を担当するクリエイティブ担当など、それぞれの専門性に応じて役割を分けることで、作業の重複や抜け漏れを防げます。 また、社内リソースが足りない場合は、必要な部分だけ外部に頼る「ハイブリッド型」の体制もおすすめです。たとえば、クリエイティブ制作だけ外注したり、広告戦略の設計部分だけコンサルティングを受けたりすることで、社内で抱えきれない負荷を軽減しながら、着実にインハウス化を進めることができます。
小さくスタートしてみる
いきなりすべての広告運用を社内で完結させようとすると、体制も整っていない状態では負荷が大きく、ミスや混乱が起きやすくなります。そのため、まずは予算や影響の小さいキャンペーンからテスト的にインハウスで運用してみるのがおすすめです。 たとえば、季節限定のキャンペーンや特定の商品に絞った広告配信などを小さく始めてみて、社内での役割分担やワークフロー、分析手法などを実践の中で確認・調整していきます。 そこで得た学びや成果をもとに、徐々に運用範囲を広げていけば、無理なくスムーズに完全インハウス体制に近づいていくことができます。
定期的に見直し&改善する
広告運用をインハウス化した暁には、毎週や毎月といった定期的なタイミングで、広告運用の結果をしっかりと振り返ることが重要です。クリック率(CTR)やコンバージョン数、CPA(1件の獲得にかかった費用)などの数値をチーム全体で確認し、「なぜ成果が出たのか」「次は何を改善すべきか」といったポイントを具体的に話し合いましょう。 定例ミーティングを設定して、目標に対する進捗確認や改善案の共有を行うことで、PDCAサイクルをしっかりと回せるようになります。また、こうした場での対話を通じて、社内での知識の共有やチーム力の強化にもつながります。
チームで情報を共有する仕組みをつくる
インハウス化した広告運用を継続していく上で大切なのが、「情報を個人の中に閉じ込めないこと」です。施策の設定意図や改善方針、成果の背景などが特定の担当者しかわからない状態だと、チーム全体での連携が取りづらくなり、運用の質やスピードが落ちてしまいます。 そこで必要になるのが、誰が見てもわかる「ナレッジの共有基盤」です。たとえば、日々の施策や配信設定の内容を記録する運用ログ、KPIの進捗や改善履歴をまとめた週次レポート、成果が出たクリエイティブやその考察を蓄積したデータベースなどを整備することで、チーム全員が同じ情報をもとに判断・改善できるようになります。 さらに、SlackやNotion、スプレッドシートなどの共有ツールを活用し、チームがリアルタイムで施策状況を確認・更新できるようにすることも効果的です。加えて、定例の振り返りミーティングや短い朝会、週報のシェアなどを習慣化すれば、ナレッジの共有が日常的に行われ、運用力が着実に底上げされていきます。 情報を「溜めて終わり」ではなく「活用して成果につなげる」仕組みを意識しながら、チーム内で継続的に運用ノウハウを循環させていきましょう。
外部とのつながりも大切にする
インハウス化は「自社だけですべてを完結させること」が目的ではありません。むしろ、運用を継続し、成果を出し続けるには、信頼できる外部の知見やネットワークを適切に活用することが重要です。 たとえば、広告媒体は日々進化しており、GoogleやMetaなどが定期的に行う仕様変更や機能追加について、情報をいち早くキャッチするには、公式セミナーやパートナー制度、外部の専門家とのネットワークが有効です。こうした情報を自社だけで追うのは限界がありますが、外部とのつながりを持っておくことで、最新の知見を継続的に取り入れ、運用をアップデートし続けることが可能になります。 外部とのつながりは“補完”であると同時に、社内にない視点や刺激をもたらしてくれる存在でもあります。継続的な成果を目指すなら、閉じず、開きながら進めることが、インハウス運用を成熟させる鍵になります。
広告運用をインハウス化するにあたっての判断の目安
「そろそろインハウス化を考えてみてもいいのかも?」と感じたとき、まずチェックしておきたいのが、自社が本当にインハウス化に向いているかどうかです。単にコストを下げたい、という理由だけで踏み切ると、思わぬ壁にぶつかってしまうことも。 このパートでは、「自社の体制やリソースと照らし合わせた現実的な判断軸」をいくつかご紹介します。広告費の規模、社内の人的リソース、スピードや柔軟性の重視度、そして費用対効果へのこだわりなど、多角的な視点から自社がインハウス化に向いているかを見極める参考にしてみてください。以下の項目に当てはまるものがあれば、インハウス化の可能性を前向きに検討してみる価値があります。
広告費による判断の目安
一般的に、広告費がある程度の規模(例:月額50万円〜100万円以上)に達している場合、インハウス化によってコスト削減や運用効率の最適化を図りやすくなります。広告費が少ない場合は、代理店手数料が重く感じられたり、細かな改善が難しいケースもあるため、自社で運用することでより柔軟な施策やスピーディな改善を実現しやすくなります。 もちろん、広告費の大小だけで判断するのではなく、「どれだけ運用に主体的に関わりたいか」「効果改善のスピードをどれくらい重視するか」といった観点から、総合的に判断することが重要です。
社内に広告に詳しい人がいる or 育てられそう
社内にすでに広告運用の経験者がいる場合は、インハウス化への移行もスムーズに進めやすくなります。また、たとえ経験者がいなくても、マーケティングへの関心が高く、吸収力のある社員がいれば、外部のサポートや研修を活用しながら、段階的にスキルを育てていくことが可能です。重要なのは「できる人がいるか」ではなく、「育てられる環境があるか」です。
スピード重視で動きたい
広告施策においてスピード感を持って動くことは、機会損失を防ぎ、成果につなげるうえで非常に重要です。たとえば、「週末のキャンペーンに合わせてすぐにバナーを差し替えたい」「新商品の反応を見ながら、日ごとに訴求内容を変えたい」といった柔軟な動きが求められる場合、外部に依頼しているとどうしてもタイムラグが生まれてしまいます。 その点、自社内で運用を完結できるインハウス体制であれば、アイデアを思いついたその日に施策を実行することも可能になります。スピードを武器にして成果を最大化したい企業にとって、インハウス化は非常に有効な選択肢です。
費用対効果をもっと高めたい
広告費をただ使うのではなく、「いくらかけてどれだけ成果が出たか」という“費用対効果”を重視する企業にとって、インハウス化は非常に有効な手段です。自社で直接運用を行うことで、どの施策にいくら使ってどれくらいの反応があったのかをリアルタイムに把握し、無駄な出稿や効果の薄いターゲティングを早期に見直すことができます。 また、施策ごとのROI(投資対効果)を詳細に分析しながら予算配分を柔軟に変更できるため、代理店任せよりも精度の高いPDCAが可能になります。最小限のコストで最大限の成果を出したい、という考えがある企業ほど、インハウス化のメリットを実感しやすいでしょう。
この記事を通じて、広告運用を自社で行う意義や課題、その始め方について、イメージはつかめましたか?
インハウス化という選択肢は、すべてを自社でまかなうことを目指すのではなく、自社のリソースやスキルに応じて、社内で担う部分と外部に任せる部分をバランスよく設計することが大切です。あくまで“自社にとって最適な体制とは何か”を軸に考えることで、現実的かつ成果につながる広告運用を実現しやすくなります。 一方で、代理店に丸ごと任せきりにしてしまうと、自社内にノウハウが蓄積されず、改善の方向性が見えにくくなるリスクもあります。だからこそ、自社がどこまで関与し、どのような体制で運用に向き合うべきかを整理することが、これからのマーケティングにおいて重要です。
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